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ADX・DMIの見方:トレンドの強さと方向を分けて読む

ADXは方向に関係なくトレンドがどれだけはっきりしているかを、+DIと−DIはどちらの力が大きいかを測ります。ワイルダーの定義と読み方を見ます。

📚 チャート分析をはじめから正しく · 38/48· ⏱ 読了目安 5分 ·情報更新 2026-10-08

📋 基本情報

核心
ADXは強さ、+DI・−DIは方向を別々に測る
計算
方向の動きを真の値幅(TR)で割り、ワイルダー方式で平均
初期設定
DIの長さ14、ADXの平滑14(TradingViewの初期設定と同じ)
注意
ADXが上がるのは上昇ではなく、トレンドがはっきりしてきたという意味
リアルタイム
進行中の足の高値・安値が変わると+DI・−DIも変わる

ADXとDMIが測るもの

ADX(平均方向性指数)とDMI(方向性指数)は、RSIとATRを作ったワイルダーが同じ本で紹介した指標の組です。画面にはふつう線が3本出ます。+DIは上方向に値幅を広げた力、−DIは下方向に広げた力、そしてADXは2つの力の差がどれだけ開いているかを平均した値です。肝は、強さと方向を別々に測るという点です。ADXは0から100の値でトレンドがどれだけはっきりしているかだけを示し、そのトレンドが上か下かは語りません。方向は+DIと−DIのどちらが上にあるかで読みます。そのためADXが高く上昇中なら「どちらにせよ一方向にはっきり動いている」という意味で、その一方向がどちらかはDIの2本の線を見なければわかりません。この区別こそがこの指標を使う理由です。移動平均線やMACDのように方向を示す指標は多いものの、いまがトレンドに乗る方法が通じやすい局面なのか、ボックス圏のように方向がよく入れ替わる局面なのかを別に見積もる指標は多くありません。

定義と計算:ワイルダーの方向の動き

計算は、足ごとに「どれだけ上に広げたか」と「どれだけ下に広げたか」を比べるところから始まります。今日の高値から前日の高値を引いた値を上の動き、前日の安値から今日の安値を引いた値を下の動きとし、2つのうち大きいほうで、しかも0より大きいものだけをその足の方向の動きとして認めます。こうして求めた+DMと−DMを、同じ期間の真の値幅(TR、前日終値まで含めた値幅)で割って比率にしたものが+DIと−DIです。真の値幅で割るのは、価格帯や値動きの大きさが違う銘柄どうしでも同じ目盛りで見るためです。平均はワイルダー方式でとります。新しい値の重みを1/期間とする指数型の平均で、TradingViewではRMAと呼ばれる方式です。1本の足では+DMと−DMのどちらか一方しか0より大きくなれず、その値はその足の真の値幅を超えないので、+DIと−DIを足しても100を超えません。下は計算の順序です。

  • 上の動き = 高値 − 前の高値、下の動き = 前の安値 − 安値
  • +DM:上の動きが下の動きより大きく、0より大きければその値、そうでなければ0(−DMは逆)
  • +DI = 100 × (+DMのワイルダー平均)÷(TRのワイルダー平均)、−DIも同じ方法
  • DX = 100 × |+DI − −DI| ÷ (+DI + −DI)
  • ADX = DXのワイルダー平均

初期設定と計算の始まり

ワイルダーが示した期間は14で、TradingViewの内蔵指標もDIの長さ14、ADXの平滑14を初期設定にしています。このサイトのコイン・株式の売買シグナルツールもADX(14, 14)で計算します。2つの数字を別々に設定できる点を知っておくとよいでしょう。前の14は+DI・−DIを作るときの平均期間で、後ろの14はDXをもう一度平均してADXを作る期間です。平均を2回通るので、ADXは価格よりかなり遅れて動きます。またワイルダー方式の平均は、最初の値をどこから積み始めたかの影響を受けます。読み込んだ足が少ないと、最初の数十本のADXがほかのプログラムと少し違って出ることがあり、足を十分に読み込めば差は縮まります。プログラムによって値がわずかに違うなら、2つの期間、平均の方式、読み込んだ足の数をまず合わせてみます。期間を短くすると反応は速くなりますが値がばらつき、長くするとなめらかになる代わりにさらに遅れます。どちらが正しいという正解はなく、ほかの指標と同じく足の長さと一緒に決めてはじめて意味があります。

読み方:3本の線を別々に見る

読む順序は、ADXの高さ、ADXの傾き、DIの2本の線の位置です。ADXが低い局面は上下の力が似ていて方向がはっきりしない状態で、よくレンジ相場と読まれます。多くの人が20や25を境目にしていますが、これは慣例であって、この数字を超えれば何かが保証されるという意味ではありません。ADXが上昇中なら一方の力がだんだん優勢になっているという意味で、下降中ならその優勢が弱まっているという意味です。方向は、+DIが−DIの上にあれば上方向の力が、下にあれば下方向の力が大きい状態と読みます。2本の線が交差する地点に注目する人は多いものの、ADXが低いときの交差はボックス圏の中の小さな揺れであることがよくあります。そのためこのサイトのコイン売買シグナルツールは、ADXが20を超え、直前の足より上昇中のときだけ+DIと−DIの大きいほうで方向を判定し、それ以外は中立にしています。3本の線をまとめて一つのシグナルにするより、強さと方向を別々に確かめてから並べて見るほうが、この指標の本来の使い方に近いといえます。

ADXが折れるとき、低くとどまるとき

ADXが高いところから折れて下がってくると「トレンドが終わった」と読みたくなりますが、この指標が語っているのは「一方の力の優勢が弱まっている」というところまでです。トレンドが反転することもあれば、同じ方向に進みつつ速度だけが落ちることもあり、ボックス圏に入ることもあります。3つのどの場合もADXは下がります。逆にADXが長く低くとどまったあと上がり始める局面は、ボックス圏から一方向に抜け出す動きが出るときによく見られる姿ですが、ADXは平均を2回通った値なので、その動きがかなり進んだあとでようやく上がり始めます。もう一つ知っておきたい性質は、ADXが下落トレンドでも上がるという点です。価格がじりじり下がると−DIが優勢になり、2本の線の差が開くので、ADXは高くなります。そのためADXだけを切り離して「高いからよい」と読むと、方向を正反対に見てしまうことがあります。ADXの高さと傾きは、いまトレンドに従う方法が通じやすい環境かを見積もる背景情報として使い、方向は必ずDIの2本の線や価格そのもので確かめるのが順序です。

よくある思い込み

ADXは名前に「方向」が入っているので、方向を教えてくれる指標だと誤解されやすい指標です。下はよく見かける思い込みです。

  • ADXが上がると価格が上がると読む(下落トレンドでもADXは上がる)
  • ADXが折れたら反対方向に転じると決めつける
  • ADXが低いときの+DI・−DIの交差を新しいトレンドの始まりと読む
  • 20・25のような境目を超えればトレンドが保証されるとみなす
  • 期間の違う2つのプログラムのADXの値をそのまま比べる

暗号資産と株式で違って見える点

ADXの材料である真の値幅と方向の動きは、窓(ギャップ)の影響を受けます。株式は通常の取引時間が閉じている間にたまったニュースが翌日の寄り付きの窓として反映され、窓が大きいとその日の真の値幅と方向の動きがともに大きくなって、+DIか−DIの一方が一気に跳ね、ADXも引き上げられます。決算発表の翌日のように窓一つで生じた変化はその後数日間平均の中に残るので、ADXが高く保たれている理由が着実なトレンドではなく、窓一つであることもあります。暗号資産は24時間取引されて次の足がたいてい前の終値の近くから始まるので、こうした窓の効果は小さく、方向の動きが足ごとに少しずつ積み上がるほうです。その代わり短い足ではノイズが多く、+DIと−DIがよく交差します。サムスン電子・SKハイニックスのような韓国の大型株には1日の値幅制限があり、極端な日の値幅が切られて記録されることもあり、米国の指数や大型テック株は時間外取引の動きが通常取引の足には窓としてしか現れません。そのため銘柄群が違えば、同じADXの水準でも同じ状態を意味するとは言いにくく、同じ銘柄の過去のADXの範囲と比べるほうがよいでしょう。

リアルタイムのチャートで見るとき

リアルタイムのチャートの最後の足はまだ確定前なので、その足の高値や安値が新しく変わるたびに、その足の方向の動きと真の値幅が計算し直され、+DI・−DI・ADXも一緒に動きます。特に方向の動きは「上に広げた幅と下に広げた幅の大きいほうだけ」を認めるので、進行中の足が先に上へ広げ、あとで下へより大きく広げると、その足の+DMが0に変わって−DMが生まれるというように、判定がまるごと入れ替わることがあります。その結果、進行中の足では+DIと−DIが交差したあと、確定前にまた元に戻ることが起きます。過去のチャートに残った交差はすべて確定した足の結果なので、リアルタイムの画面で見た交差と、あとに残る記録が違うことがあります。ADXそのものは平均を2回通るので進行中の足1本で大きくは動きませんが、傾きが上向きか下向きかは最後の足1本で変わることがあります。そのためシグナルの判定は確定足で行い、進行中の足は引けまでの残り時間と一緒に参考として見るのが一般的です。

実践の確認手順

ADXとDMIを見るときは、下の順で確かめると、強さと方向を混ぜて読む失敗を減らせます。確認は確定足を基準にします。

  • 期間の設定(DIの長さ・ADXの平滑)と足の長さを確かめる
  • ADXの高さで、いまがはっきりしたトレンドかボックス圏に近いかを見積もる
  • ADXの傾きで、一方の力が強まっている途中か弱まっている途中かを見る
  • +DIと−DIのどちらが上かで、方向を別に確かめる
  • 窓や大きな足1本が値を押し上げたのではないかをチャートで確かめる
  • 上位の足の長さのADX・DIと同じ側を指しているかをあわせて見る

限界と注意事項

ADXとDMIは過去の高値・安値・終値を2回平均して作った値なので価格より遅れて動き、今後の方向やトレンドがどれだけ続くかを教えてくれません。ADXが高かった局面が振り返るとはっきりしたトレンドだったのは定義上当然のことで、その瞬間にトレンドが続くかどうかは別の問題です。境目の値や交差を基準にしたルールが過去にどうだったかはこの記事では測っておらず、銘柄や足の長さ、時期によって大きく違う可能性があります。そうしたルールを検討するには、バックテストの記事で扱った方法のように手数料と滑りを入れ、ほかの期間でも確かめ直す必要があります。またこの指標は出来高を使わないので、同じADXでも取引の多い日の動きなのか閑散とした日の動きなのかを区別できません。この記事は指標の定義と読み方を説明するだけで、どんな売買も勧誘しません。実際の判断とその結果は各自の責任です。

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